【茨城県・栃木県】ハイエースなど160台窃盗グループ逮捕

車両・重機の盗難事件簿
2017.07.07 金曜日
【茨城県・栃木県】ハイエースなど160台窃盗グループ逮捕

ハイエース・プリウス狙いの窃盗団逮捕

2017年7月5日、茨城県警・栃木県警の合同捜査班は、自動車盗を繰り返したとして窃盗容疑でつくば市自営業男(29)ら4人、盗品等有償譲り受け容疑などで買い取り側の阿見町自動車解体業男(32)ら3人を逮捕、送検したと発表した。

合同捜査班が確認した被害は、関東・東北6県(茨城・栃木・千葉・埼玉・群馬・福島)で160台・総額約2億1,250万円に上るという。

盗んだ車160台のうち、トヨタの「ハイエース」が136台で、残り24台は同社の「プリウス」だった。

逮捕・送検容疑は、2015年11月~16年11月に窃盗グループが宇都宮市や日立市などの駐車場でトヨタハイエースとプリウス計4台を盗み、買い取りグループが同年10月、阿見町の路上で窃盗グループから盗品と知りながら1台を買い取ったとしている。

窃盗グループ4人は中学の同級生など、買い取りグループ3人は家族で、7人とも容疑を認めているという。

両グループの関係は2016年から始まり、窃盗グループはハイエースを8万~15万円、プリウスを12万~15万円で売却。買い取りグループは運営するヤード(自動車解体場)で車を解体し、エンジンなどは約20万円で転売していたらしい。

買取グループは、買い取った盗難車の転売先については黙秘しており、合同捜査班は引き続き転売ルートの捜査を続けるという。

主犯格の男は、ハイエースを狙った理由を「セキュリティータイプが古く、盗みやすかったから」と話し、高額で販売できるオートマチック(AT)車を主に狙っていた。

事前の下見でドアを開け、AT車かを確認してから犯行に及んでおり、犯行時間は短く、10分以内で盗むことが可能だったという。

盗難車を移動させる際には、発覚を免れるため、盗んだナンバープレートの数字を変えた偽造プレートで偽装する手の込みようだった。

茨城県内では15年ごろからハイエースなどの盗難が多発し、茨城県警が重点捜査。

16年5月下旬につくば市内のコンビニエンスストアで、職務質問に対し逃走する車両があり、その後の捜査で被告らが浮上、買い取りグループとのつながりも明らかになった。

主犯格の男は「得た金は遊びや借金返済に使った」と供述している。

昨今の自動車盗難の傾向

【茨城県・栃木県】ハイエースなど160台窃盗の窃盗グループ逮捕

近年、茨城県・千葉県での自動車盗難とその対策については、目まぐるしく状況が変わってきています。

千葉県では自動車盗難の多さを受けて、2014年下期から違法ヤードの摘発を集中的に行いました。

その結果、千葉県内で盗難車の買取をする違法ヤードが激減し、「県内で盗み、すぐに県内で解体する」という手口を自動車窃盗グループは封じられ、活動の場を徐々に茨城県に移していきました。

茨城県では県西部に多くの違法ヤードがあり、窃盗グループは茨城県西、茨城県南やその周辺(栃木県・埼玉県)で自動車を盗み、茨城県西(特に坂東市)や県南(阿見町など)の違法ヤードに盗難車を持ち込み、換金していました。

その後、千葉県でも自動車盗難が再び増加したのは、「千葉で盗んで茨城で売る」という手口を窃盗グループが採択していったからだと思われます。

2017年4月には茨城県で違法ヤードの規制が始まり、窃盗グループの活動の場が徐々に周辺に分散していき、福島県南(いわき市など)での被害が昨今急増しています。

上記の窃盗グループも、千葉県での違法ヤード壊滅をきっかけに茨城県県南を中心とした複数の違法ヤードに盗んだ車両を持ち込む手口を使っていたものの、警戒していた警察に逮捕されたものと思われます。

窃盗グループが盗んだ160台のプリウス・ハイエースの盗難場所内訳は、以下のようになります。

窃盗グループの犯行区域と件数
県名犯行区域件数
茨城県つくば市、牛久市、土浦市、ひたちなか市、日立市など21市62件
埼玉県さいたま市、春日部市、越谷市、久喜市、三芳町など17市町35件
千葉県千葉市、柏市、我孫子市、松戸市、香取市など16市町38件
栃木県宇都宮市、下野市、真岡市、足利市、佐野市、芳賀町など11市町34件
群馬県太田市、館林市、大泉町3件
福島県いわき市1件

窃盗グループは盗んだ車両を移動させるときもナンバープレートの偽装をするなどの手間をかけていたことから、車両の移動には相当の警戒心を持っていたことが分かり、長距離の移動は避けていた可能性が高く、犯行区域からすると手を組んでいた解体ヤードは各地に点在していたものと思われます。

ここで注意すべきことは、窃盗グループの手口や警察による取り締まりが変化しても、ターゲットになる車両はほぼ変化せず、相変わらずトヨタ車、特にハイエース・プリウスの盗難は多く、違法ヤードの取り締まりがある地点で行われると、被害が周辺に分散する傾向があるという事です。

茨城県北部、栃木県、埼玉県にはまだ違法ヤードが存在する可能性があり、茨城県近隣での自動車盗難が増加傾向に転ずる可能性があり、注意が必要です。