最近の防犯カメラ需要の特徴
- 防犯コラム
- 2017.06.28 水曜日
防犯カメラの需要の変化
防犯カメラに対する需要は数年がかりで少しずつ変化しており、2017年上期については需要の変化がかなりはっきりしたように感じます。
その変化は、2~3年前に需要の伸びを示したものがそのまま伸び続けている、もしくは真逆の方向に進んでいる、という2つの傾向があります。
特に、真逆の方向性を示したものがあることを考えると、流行しそうなものにそのまま飛びついてしまうと、数年経ってみるとそのシステム自体が世の中で衰退の様相を見せ、十分なサポートが受けられなくなる、といったリスクが発生する可能性があります。
防犯カメラの高画質化
防犯カメラの高画質化は10年ほど前から進んでおり、従来の41万画素アナログカメラが、100万画素・130万画素の「メガピクセルカメラ・HDカメラ」に切り替わっていきました。
しかし、低価格化のスピードは遅く、3年程前まではなかなかメガピクセルカメラに手が出ず、買い手も売り手も結局41万画素アナログカメラを選択している状況でした。
2~3年前に防犯カメラの高画質化と低価格化が進み、画質は200万画素以上のフルハイビジョンのものが次々に発売され、価格も41万画素アナログカメラとほぼ同等になり、現在では41万画素のカメラを新たにつけることはなくなり、フルハイビジョンの防犯カメラへの切り替えが進んでいます。
この防犯カメラの高画質化はこれからも順当に進んで行くことが予測され、しばらくは200万画素フルハイビジョンが主流、4Kテレビがある程度標準化される頃には、防犯カメラも400万画素以上の物が主流になることが予測されます。
防犯カメラのネットワーク化
防犯カメラは同軸ケーブルを有線配線する「アナログカメラシステム」と、LANケーブルやwifiで接続する「ネットワークカメラシステム」の2つがあります。
10年ほど前から「これからはネットワークカメラの時代、デジタルの時代」といわれ、ネットワークカメラの需要が大きな期待を集め、市場予測でも「ネットワークカメラの需要の伸びはすさまじいことになる」と言われていました。
しかしこの10年を見ると、ネットワークカメラの需要の伸びは、10年前に予測されたほどではないように感じます。
もちろん、オリンピック会場や大企業、大規模工場などでは明らかにネットワークカメラの必要性が高かったことから、ネットワークカメラの販売台数そのものは増加傾向を見せました。
また、一般家庭用のペット監視や見守りカメラとしてのネットワークカメラは、その手軽さと価格の安さから、需要の伸びを見せています。
しかし、その需要の伸びは、「大規模防犯カメラシステム」「家庭用」といった限定された範囲での需要であり、当初の予測の様に世の中全体での傾向にはなっていません。
その一番の理由は「アナログカメラの進化」で、10年前まではアナログカメラは構造上41万画素が限界で、100万画素以上にはデジタル信号を使用しないと不可能、ネットワークカメラのみが高画質化していく、という予測がたてられていましたが、この3年ほどで、アナログカメラが「AHD」「HD-SDI」といった新たな信号方式を採用し、200万画素以上の高画質化を実現し、低価格化も急速に進んだため、ネットワークカメラの「高画質」という一番の優位点がなくなってしまったためです。
また、ネットワークカメラは録画装置が高額になるうえに、構造上録画が頻繁に中断されるという事もあり、「高画質撮影で安定した録画」という面で、アナログカメラに大きなメリットが生まれています。
その為、防犯カメラの大体の需要にはアナログカメラが応じ、規模の大きな建物の場合、アナログカメラでは配線距離に限界がある為、LANポートがあれば配線可能なネットワークカメラが活躍する、といった流れになっています。
では、今後の「アナログカメラ VS ネットワークカメラ」の展開はどうなるかというと、やはりネットワークカメラの割合が増えていくことが予測されます。
従来の「大規模防犯カメラシステム」「一般家庭」に加え、「顔認証」「導線解析・マーケティング」などソフトウェアと連動する高度なシステムはネットワークカメラとの親和性が高く、精度も低価格化も少しずつ進んでいることから、ネットワークカメラにしかできないことが増えていくものと思われます。
また、ネットワークカメラの一番の特徴である「プログラムを組み込める」というメリットを活用し、センサーとして侵入や犯罪の検知をカメラが行う可能性も高く、カメラが従来持っていた「撮影・録画」以外に「解析・マーケティング・検知」といった新たな価値をネットワークカメラが持ち、需要を伸ばしていくことも予測されます。
一方で「高画質録画・遠隔監視」といった市場ではアナログカメラは優位性を保ち続けることも予測されます。
防犯カメラの録画
従来は防犯カメラと言えば「録画しておくことが当たり前」といったものでした。
しかしネットワークカメラの登場により、防犯カメラの映像をいつでもどこからでもPCやスマートフォンで閲覧できるという「遠隔監視」が登場し、「犯罪を防ぐ、証拠を警察に提出する」という防犯の需要だけでなく「従業員監視・作業管理・状態確認」といった管理目的の需要が大きく伸びました。
3~4年前までは、ネットワークカメラシステムなら録画装置がいらない、カメラだけ現地に設置し、低コストでシステムが組める、管理目的の場合は録画は必要ない、という風潮が非常に強かったものですが、ここ1年ほどは「やはり録画は必要だ」という声をよく耳にします。
従業員マネージメントや作業管理と言えども、常にカメラ映像を見張っていることは困難で、過去の様子を見たいことも多々あるため、録画の必要性を感じるケースが多いようです。
また、録画がされていることで、過去の映像を利用して良い接客の映像を共有したり、セールの時の映像を共有したりと、経営の効率化に録画映像を活用できることからも、「遠隔監視に録画は必要」といった風潮が感じられます。
恐らく今後も録画については需要が下がることはなく、完全に録画ができない機種については市場が極端に限定されていくことが予測されます。
長く防犯カメラシステムを活用する
上記の様に、防犯カメラの需要は刻々と変化しており、一時的な流行が数年で廃れてしまうこともあります。
防犯カメラシステムを導入する際には、環境や目的をしっかり考えて、将来的に廃れる可能性の無いものを選択する必要があります。
録画が必要ない、と考え、録画不可能な低価格ネットワークカメラを導入したものの、使い続けているうちに録画の必要性を感じ、録画をするためにシステム一式を入れ替える、という実例は多いものです。
また、廃れていくシステムは、メーカー側でもその維持や開発に人員を割くことができなくなり、保守部品はあるものの専門知識のある技術者が極端に少なく、サポートが不十分になるという事はよくある話です。
現在見えている展開では、高画質撮影・録画・遠隔監視が目的であれば「アナログカメラ(AHDカメラやHD-TVIカメラ)」、建物規模が大きく、LANケーブルの配線の方が効率が良い場合、顔認証やマーケティングなどの解析をしたい場合はネットワークカメラを選択することが良いように思われます。
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