街頭防犯カメラの設置場所公開について
- 防犯コラム
- 2016.05.02 月曜日
街頭防犯カメラの現状
近年「街頭防犯カメラ」という、市街地に設置する防犯カメラの台数が増えている。
この増加の背景には、一部地域で発生した、街中での無差別殺傷事件や誘拐事件など、凶悪事件への抑止対策の意味合いや、地域での空き巣や不法投棄、ひったくり、性犯罪などへの警戒などがある。
また、防犯カメラの設置については、区や市から助成金が出るケースもあり、その場合金銭的負担を大幅に軽減しながら防犯カメラを設置することができる。
これまでは防犯カメラの設置は基本的に所有者の敷地内を撮影・記録することが多く、あくまでも「私有地内の犯罪抑止」の意味合いが強かったが、犯罪の性質として、私有地以外の公共の場で発生する質の物も多く、街頭防犯カメラの設置は公共の場での犯行抑止に最も効果が高い方法となる。
厚木市の街頭防犯カメラ活用法
神奈川県厚木市では、小田急厚木駅周辺に街頭防犯カメラを多数設置しており、その防犯カメラの設置位置を市のWEBサイトで公開している。
この試みは全国的にはまだ例のないことだが、非常に効果的に防犯カメラを利用しているといえる。
住民があらかじめ街頭防犯カメラの設置位置を詳細に知ることができるので、例えば市内で安全性の高い場所はどこなのかを予め知ることができ、安全な通勤通学ルートを決めることができる。
街頭防犯カメラ設置位置公開の是非
この試みに関しては全面的に効果が高く、マイナス面はほぼ無いように思える。
予測される否定意見としては「カメラの設置位置があらかじめ分かってしまうと、犯罪者は逆に防犯カメラのついていない場所を通るのでは?」といったものがあるが、この議論については、防犯カメラを気にする犯罪者は、そもそも設置位置が公表されていなくとも、どこにカメラがついているか調べるので、公表する・しないは問題にはならない、といえる。
防犯カメラを気にしない犯罪者については、防犯カメラでは犯行を抑止することができず、もしそういった犯行の抑止を考えるなら、警察の巡回など他の手段で犯行抑止対策は進める必要がある。また、防犯カメラを気にせず起きた犯罪については、防犯カメラが確実にその映像を記録できるため、防犯カメラの設置の目的自体は達成される。
犯罪者が防犯カメラ設置位置を事前に知ることで、そのエリアでの犯罪をしないのであれば、住民たちがそのエリアを安全地帯とみなし、通勤通学に使用することはなおさら効果的になる。
ここで重要なことは、厚木市は市内で犯罪発生率を抑えられるエリアを防犯カメラで作り出し、そのエリアに住民の活動を誘導していることであり、従来のただ単に心配な場所にカメラをつけて犯罪減少を期待する、という受け身のスタンスから脱却し、積極的に防犯カメラにより安全・安心を作り出そうとしている。
厚木市の街頭防犯カメラの活用方法が他の地域にも広がることで、より治安のよい地域を作り出し、住人に安心感を与えることができる。