無線式防犯カメラのメリット・デメリット
- 防犯コラム
- 2015.09.28 月曜日
無線式防犯カメラシステムのデメリット
一般的に防犯カメラは有線で主装置(録画装置ないしはルーター)に接続することになる。
ただし、防犯カメラ設置の際、配線が困難な場所だから、美観を損ねたくないから、といった理由から無線化したいという需要は非常に多い。
配線せずに防犯カメラシステムを利用できるならそれに越したことはなく、利用する側にも施工する側にも理想的であるが、現状はそうなっておらず、大半の防犯カメラシステムは有線式になっている。
これはもちろん防犯カメラに限らず、ほとんどの電気機器は有線方式になっており、また建物もそれを前提に、EPSなどの配線・配管ルートが確保されていることがほとんどである。
理由はただ一つしかなく、「配線する手間やルートを確保せずともよい、というメリットを上回るデメリットが無線にはある」からである。
通常は防犯カメラの無線化は2.4GHz帯で電波を飛ばし、映像を転送していくことになるが、この2.4GHz帯の場合、無線法という法律の制限上、高画質での映像転送ができず、動きも滑らかではなく、カクカクしてしまう。おまけに電波到達距離も短く、100m飛べばいい方である。
しかも、実際に現場で何メートルほど無線を飛ばせるかは、壁が何枚あるか、材質は何か、周囲に2.4GHzに近い無線が飛んでいるかどうか等の条件によって大きく到達距離が変わるため、事前に無線で問題なくシステムを組めるかどうかが把握しにくく、失敗しないために有線で配線せざるを得ないことも多い。
国内で電波を無線で飛ばすためには、電波法に基づく基準認証を受け、総務省で「技適マーク」を取得したものでないと、使用できない。
防犯カメラの2.4GHz帯無線は、コストを抑えつつ無線化できるのだが、上記の様な画質や動き、電波到達距離の限界を、技適マークや電波法の制限のため、超えることがどうしてもできないのだ。
なお、国内で技適マークを取得していない海外製品が、市場に若干出回るケースもあるのだが、これを使用してしまうと法律上罰せられてしまう。
性能の高い無線LAN式防犯カメラシステム
2.4GHz帯無線に対し、無線LANやWi-Fiで一般化されているIEEE802.11規格の無線については、その性能は素晴らしく、高速かつ高画質で映像を長距離無線化することができる。
ただし、100万画素、200万画素の防犯カメラを無線化するために必要な無線機器をそろえると、コストが跳ね上がってしまい、有線で配線工事をした方が完全に安上がりになることがほとんどになるため、どうしても配線ができないところ以外は結局有線で配線してしまう、というのが現状である。
国内の無線事情は上記の様な理由で、防犯カメラ映像を高画質かつ滑らかな動きで長距離無線化することがあまり活発に行われてはいない。
現在ヨーロッパ諸国を中心に、新しい無線規格が普及し始めているが、いずれは国内にも普及していくことが予測される。
現在はメーカー側が日本国内で技適マークを取得していないため(技適マークの申請には手間もお金もかかる)、国内では一切使用することができないが、数年以内にいずれかのメーカーが技適マークの申請をするなりして、国内に新しい無線規格が普及し始め、現在よりも低コストで十分な画質・動き、電波到達距離のシステムを組むことができるようになることだろう。
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