2018.05.25 金曜日
防犯カメラシステムには通常①電源を供給する線②映像を送信する線 の2本が必要になります。
その為、防犯カメラを完全にワイヤレス化するためには、この電源供給と映像送信の2点を配線せずに解決する必要があります。
現状の防犯カメラシステムは、基本的にこの2点の内、どちらか一方もしくは両方を解決できず、無線化ができない、もしくは無線化しても安定運用が難しい、という状況にあります。
①映像信号送信の問題
防犯カメラの高画質化はめざましい進歩を遂げており、以前は40万画素クラスの物が主流でしたが、現在では200万画素フルハイビジョンの物が主流になっており、画素数の飛躍的な向上と共に、データの大きさも飛躍的に膨らんでいます。
録画に関しては、ハードディスクの容量が大きなもの(数テラバイト)を使用することで十分な録画時間を確保できていますが、この映像信号を切断や遅滞なく無線送信するためには、相当な無線送信速度が必要となります。
また、無線の速度は通信距離が離れれば離れるほど極端に低下し、途中に遮蔽物があるとそこでも速度が極端に低下する為、一般的な環境では十分な速度を確保できず、安定した無線送信ができないことがほとんどです。(普通、防犯カメラは無線アンテナの近くに集めて設置するものではない為)
その為、現在安定した無線通信が行えるのは、カメラの台数が少数(1~2台)で、無線アンテナから近く、遮蔽物がない環境に限られ、その環境であればそもそも配線すること自体が容易な為、あまりメリットがない状況です。
また、映像信号を無線化できても、結局機械は電源供給が必要不可欠な為、電源線の配線が必要になり、完全な無線化とはいいがたい状況になります。
電源の線を引けるのであれば、映像の線もいっしょに引いてしまったほうがはるかに安定性が増します。
②電源供給の問題
映像信号を無線化できても、電源線が必要だという事が問題なのであれば、電源を無線なりバッテリーなりで供給出来れば基本的な問題は解決できるのでは?という方向で防犯カメラの無線化は進みつつあります。
ただし、無線で電気を供給することは、現状無理で、今後も可能性は低いものと思われます。
その為、バッテリーでの電源供給や、太陽光パネルでの電源供給ができれば、配線なしで防犯カメラに電源供給ができるのではないか、という方向で無線化が進んでいます。
現状では太陽光パネルでの電源供給は、天候で供給量が左右され、室内では難しく、蓄電した電気で防犯カメラの安定した運用をするには、防犯カメラの電流消費も多く、供給する電気も心もとない、というのが実情です。
そこで、防犯カメラの電流消費量を抑えていく、という方法が必要不可欠になります。
防犯カメラの撮影にかかる電流消費量は年々小さくなってきており、以前より画素数が増しているにも関わらす、数十パーセントの省エネが実現されています。
電流消費の今後の課題は、撮影にかかる電流消費だけでなく、無線通信の際の電流消費量も小さくすることです。
無線通信が強力であればあるほど、どうしても電流消費は多くなり、それは防犯カメラに供給される電流で賄わなければいけません。
上記の様に、現状では無線通信の強さの問題に加えて、そもそも有線でないと防犯カメラに安定した電源供給ができない、ということが無線化の大きな障壁になっています。
しかし、現在国内ではスマート家電など、リビングのIOT化が急速に進んでおり、その中には電源を内蔵バッテリーで賄うものも多く、無線通信の小電力化を実現しているものも増えてきています。
IOT家電で多く使われている無線通信方式には「Z-WAVE」「ZigBee」があり、機器のバッテリー消費量を抑える省電力通信が実現されています。
現状では家庭などでの使用を前提にした短距離通信の仕様になっており、無線の電波としてはまだまだ強くはありません。
しかし、家庭という大きな市場で広まりを見せているからこそ、「もっと強い無線を」「より長くバッテリーが持つものを」という要望も多くなるはずで、その要望に応えるために技術も発達していくことが予測されます。
防犯カメラの進化は、本質的な部分は電化製品の進化に追従します。
そのため、家電の世界で小電力化と無線化が進んでいく中で、防犯カメラが完全な無線化と長距離通信が実現されていくことと思われます。
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