変装すれば防犯カメラの証拠撮影能力は無効化できるのか?

防犯コラム
2018.05.01 火曜日
変装すれば防犯カメラの証拠撮影能力は無効化できるのか?

変装した泥棒に防犯カメラは効果がない?

世間の防犯カメラへの関心は年々高まっており、同時にその関心は「期待」を多く含んできているように感じます。

その期待を裏切らぬよう、国内大手メーカーは、防犯カメラをただの撮影の機器ではなく、積極的に侵入者を検知し、さらに威嚇まで出来るように、防犯カメラを進化させようとしており、それは近い将来かならず実現されることとなりそうです。

まだ防犯カメラがアナログ画質(現在のフルハイビジョンカメラの1/5の画質)だった頃は「変装した泥棒に防犯カメラは無効」という声をちらほら聞く事もありましたが、防犯カメラの普及が進み、画質も飛躍的に向上し、警察が積極的に防犯カメラ映像を活用し検挙率を上げていることからも、「変装すれば無効」の声は聞くことがなくなりました。

さて、本当に「変装した泥棒に防犯カメラは無効」なのでしょうか?

答えは「無効にはならない」というところで、年々、変装しても無駄な状況に変わりつつあります。

変装しても検挙される?

変装すれば防犯カメラの証拠撮影能力は無効化できるのか?

変装した泥棒が物を盗って逃げた後に、人相もわからないのになぜ検挙されるのか?ということの鍵になることは「警察の捜査手法の変化」「防犯カメラの高画質化」の2点が挙げられます。

例えば目だし帽をかぶっていて人相を隠している泥棒が店舗に侵入し、高額商品を盗んで逃走する様子を店舗の防犯カメラが撮影していたとします。

カメラは200万画素フルハイビジョン、すなわち地デジハイビジョン放送と同じ画質の物で、しっかりと高画質録画がされています。

しかし、その映像をお店の責任者が見ても、「性別」「青年か中年か初老」「体格」といった事を漠然と感じられるだけで、犯人の絞り込みはできません。

しかし、現在の警察の捜査手法は現場の防犯カメラだけには頼らずに、付近の防犯カメラ映像を活用し、犯人の逃走経路を追っていくものとなっており、同様の体格の人物がどこへ向かって逃走したのかを確認しながら追跡します。

目だし帽や覆面をしていたとすると、そのままの姿で逃走することは明らかに周囲に怪しまれるため、どこかで変装を解除します。そして素顔が逃走経路のどこかで防犯カメラに撮影され、最終的には最寄り駅で警察に待ち伏せされ、逮捕されます。顔が映っていなくとも、防犯カメラに映っていた持ち物(バッグ等)から犯人を探り当てた事例もあります。

もし犯人が変装をしたまま車にのって逃走すれば、その車自体が大きな特徴となり、逃走経路の防犯カメラに記録が残り、警察の追跡を容易にします。

その際に重要なのは「犯行現場で録画されている事」で、何時何分に犯行が行われたのか、その犯行時間を起点とすることで、正確な追跡が可能になります。

変装と防犯カメラの関係

上記の様に、変装した泥棒による犯行の際にも、防犯カメラは無効ではなく、しっかりと大きな役割を果たします。

変装と防犯カメラの関係は以下のようになります。

  1. 変装あり/防犯カメラあり
  2. 変装なし/防犯カメラあり
  3. 変装あり/防犯カメラなし
  4. 変装なし/防犯カメラなし

【1】の場合は警察が人相そのものを把握することは出来ませんが、何時何分にどのような犯人が侵入・逃走したのかを鮮明に記録してあるため、時刻情報と逃走方向、体格などから犯人を追跡することができます。

【2】の場合は、素顔が防犯カメラでしっかり記録されるため、事後の追跡が確実になります。

【3】【4】の場合は、変装していようがいまいが、防犯カメラでの証拠撮影がされていない為、警察の追跡もかなり困難になります。

つまり、防犯カメラがあることで変装していようがいまいが犯人には事後の検挙の可能性が上がり、逆に防犯カメラがない事にはその後の追跡に支障が出ることが分かります。

また、最近の泥棒は目だし帽をかぶって盗みを働くよりは、人目についても怪しまれないように、作業着で業者のふりをして侵入することも多くなってきています。

その為、防犯カメラがあることで、現場もしくはその周辺で人相まで撮影される可能性が高くなってきている状況です。

防犯カメラの犯行抑止効果

上記については全て「もし窃盗被害が発生したら」という前提での話であり、「窃盗被害を未然に防ぐ」という本来の防犯効果については触れていません。

しかし、防犯カメラの「防犯」の効果は「防犯カメラ映像をもとにどれだけ検挙される確率があるか」ということに支えられています。

防犯カメラを設置する事で、犯行抑止効果が働きます。

しかし、それでも構わずに犯行を働く泥棒もいます。そのような泥棒は、警察による防犯カメラの活用が進み、防犯カメラの高画質化が進み、検挙の確率が上がれば上がるほど、防犯カメラの存在を無視できなくなります。

今後、防犯カメラの普及が進めば進むほど、より検挙率が上がり、防犯カメラの犯行抑止効果もそれに伴い上がっていくことが予測されます。